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活動報告

2012.06.06

復興へ友情スクラム 神戸製鋼・釜石SW 「V7」「震災」共に体験

6月6日付の「復興釜石新聞」の記事を転載させていただきます。

 

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思い共有 被災地支援活動 

 ラグビートップリーグの神戸製鋼コベルコスティーラーズは2日、下部リーグのトップイーストに所属する釜石シーウェイブス(SW)RFCと合同で、釜石市鵜住居町根浜海岸の清掃活動に汗を流した。神戸は95年の阪神淡路大震災、釜石は昨年の東日本大震災を体験。共に苦難を乗り越えた両チームがスクラムを組み、被災地の復興へ向けて友情を確かめ合った。

 神戸から選手やスタッフら約40人が釜石へ。SWからも約40人が加わり、津波で倒れ斜面に折り重なった大きな樹木や山積みの土砂などを撤去した。いずれもラグビーで鍛えた、けた違いのパワーを発揮。昨年4月から根浜でボランティア活動に取り組む北海道のNPO「ねおす」のリーダー吉崎文浩さん(67)は「普通なら3日かかるところを3時間でやってのけた」と驚いた。

 昨季まで神戸製鋼でプレーし、5月末にSWへ合流したばかりのベテラン伊藤剛臣(41)は、両チームのメンバーに声を掛けながら作業を率先垂範。「父が福島県出身で、自分には半分東北の血が流れている。現役最後の炎を釜石で燃やしたいと迷わずやって来た」と気合を入れなおした。共に日本代表のFWとして戦ったSWの桜庭吉彦チームディレクター(45)とタッグを組んで丸太を運ぶ場面もあった。

 阪神大震災が発生したのは、神戸製鋼が新日鐵釜石と並ぶラグビー日本一7連覇を達成した2日後。東灘区の社員寮で地震に直撃された藤高之チームマネージャー(40)は「V7、震災を共に体験した釜石は特別な存在。釜石のために何かしたいという思いは強かった」と話す。橋本大輝主将(25)は「被害の大きさにショックを受けたが、ラグビーを通じて勇気や希望を届けたい」。SWの佐伯悠主将(27)は「こういう支援は本当にうれしい。今季こそ昇格を果たし、神戸と同じ“土俵”で戦いたい」とトップリーグ昇格へ意欲を高めた。

 神戸製鋼の竹之下昇部長は「阪神大震災の時の恩返しという思いも強い。復興には長い時間がかかる。支援活動は今後も継続したい」と語った。

 

W杯招致へエール 神戸製鋼平尾GM

 この日夕方から釜石市鈴子町のシープラザ遊で開かれた交流会では、トークイベントに神戸製鋼の平尾誠二ゼネラルマネージャー(GM)兼総監督(49)も参加。2019年に日本で開催されるラグビーワールドカップ(W杯)の釜石誘致に向け、「復興事業の一環とすれば、国際ラグビー評議会(IRB)にも理解されるのではないか」とエールを送った。

 「ラグビーのワールドカップを日本で開くこと自体、夢みたいな話。1試合3万人ほどの観客動員が求められるなどリスクも高いが、震災からの復興を世界にアピールするにはいいタイミング。釜石の特別な事情を訴えれば、半分ほどの目標でもIRBに承認してもらえるのではないか」と平尾GM。「大切なのは、いかに多くの市民が招致に賛同し、盛り上がるか」と強調した上で、「釜石とともに神戸もW杯招致を目指したい」と決意を述べた。

 平尾GMとともに日本代表としてW杯に出場した釜石SWの桜庭吉彦チームディレクターも「市民が同じ方向へ向かっていくことが大切だ」と同じ思いを強調。釜石市の嶋田賢和副市長は「W杯開催へ地域の理解を得るためには、被災者が普通の生活を取り戻すことが大きな行政課題となる」と述べた。