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活動報告

2013.02.12

震災時の釜石を描いた、映画『遺体 ──明日への十日間』のご紹介です。

2011年3月11日 14時46分18秒 マグニチュード9.0 最大震度7

あの日、未曽有の災害に直面しながらも、困難な状況や悲しみに向き合った人々がそこにいた。一人のジャーナリストが目撃し取材した事実を基に、報道が伝えきれなかった真実を描く作品。

津波に襲われた釜石市。廃校となった旧釜石第二中学校の体育館が、遺体安置所として使われることになる。身元確認のため、遺体の検案や検歯に追われる医師と歯科医。市職員や自衛隊員によって、次々と運び込まれる遺体。

そこへ、地区の民生委員を務める一人の男が訪れた。混乱する現場の様子に驚愕し、ボランティアで安置所の世話役として働くことを申し出る。定年前は葬祭関連の仕事に就いていたから、遺体の扱いや遺族への接し方も心得ている。

「遺体には生きている人と同じように接しなさい」。そう言って自ら、遺体に向かって生前の彼らに対するような口調で声を掛ける。その姿を見るうちに、戸惑うばかりだった市職員たちも率先して行動するようになっていく。自分ができることをやり遂げ、残された者として今、犠牲になった人たちを一刻も早く家族の元に還すことだけを考えて。

主演:西田敏行「ご遺族の方々の心情を考えると、劇化するのが正しいかどうか、判断には非常に迷いました。報道で冷静な被害状況や数値は伝わって来るなか、被災された方々の本当の気持ちや真実は伝わりにくい。しかし劇化することによって、“事実”とは違う“真実”が引き出せるのではないかと思い、出演を決意しました。……これは突出した一人の物語ではなく、全員の物語です。……亡くなられた方々の尊厳を、生きている方々が守ろうとする想いを表現したつもりですし、出来上がった作品を観て、そういった“日本人の死生観”を描いたドラマといっても過言ではないと思っています」

監督:君塚良一「原作者の石井さんと共に現地に行き、モデルとなった方々、それからご遺族の方々ともお会いしました。とにかく全員に会って、その中で、もしひとりでも映画化することに反対する方がいらっしゃったら、映画化自体をやめようと思っていました。いろんなリアクションはありましたが、石井さんの原作に対する信頼度は高く、その原作のテイストをそのまま守れるなら映画化しても構わないという印象があったのです。“やめて欲しい”と言われることはありませんでした。……映画は劇映画とはいえ、記録を残すことの重要性もある。そういう意味で日本人にはもちろんですが、海外の方にもチャンスがあれば広く観ていただきたい作品だと思っています」

原作:石井光太「映像で見るにはつらいシーンもあるかもしれませんが、実際にあの日、安置所で働いていた方々が同じような光景の中にいたということを、一人でも多くの方に考えていただきたいと思います」

出演:西田敏行、(以下50音順)緒形直人、勝地涼、國村隼、酒井若菜、佐藤浩市、佐野史郎、沢村一樹、志田未来、筒井道隆、柳葉敏郎

原作:石井光太『遺体 震災、津波の果てに』(新潮社刊)

脚本・監督:君塚良一

モントリオール世界映画祭ワールドグレーツ部門正式招待作品

2013年2月23日(土)全国公開

★上記に抜粋した俳優・監督・原作者のコメントに、この作品の持つ意味が集約されていると思います。ニュース報道では伝えられないテーマだからこそ、映画で広く皆さまに知っていただきたいと考え、紹介しました。

終始、観ていて涙は溢れますが、つらくなるだけのものではありません。遺体と向き合った人々の、“死”に対する想いや心遣いが細やかに描かれているから、彼らの一挙手一投足は、観た者の心に温かく残るのです。

作品冒頭、震災発生直前の市役所で「何といっても、釜石のシンボルはラグビーですから……」と熱弁をふるう市職員が登場しました。モデルとなったかたは、現在、釜石市ラグビーワールドカップ誘致推進室に勤務されているそうです。

癒えぬ悲しみはあっても、2019年RWC釜石開催は皆の希望のシンボルになるでしょう。この映画の紹介も、<スクラム釜石>の東北復興支援とRWC釜石開催実現を目指した後方支援の1つです。興業収益から、被災地への支援寄付も決まっているとのこと。ぜひ、映画館に足を運んでください。(ライター/平野ゆり)

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『遺体 ~明日への十日間~』

2013年2月23日(土) 全国公開

配給:ファントム・フィルム

©2013フジテレビジョン

【本作の収益は被災地に寄付致します】